コンサルタントへの道 0

 どうすればコンサルタントになれるのでしょうか?育成されなくても、自分でなれるものなのでしょうか?自分で勝手にコンサルタントを自認するのは簡単です。しかし、コンサルタントにふさわしい成果を出せる人材になるにはどうすれば良いのでしょうか?

 ここでは、1つのサンプルとして、私が、"実質的"なコンサルティング能力育成のために用いている段階的アプローチを紹介させていただきます。

コンサルタント育成ステップ

事務作業を覚える 戻る0

 専門知識もいらず、修得にも時間のかからない一つ一つの事務作業もやり方によって効率が大変違ってきます。また、表面的な作業効率だけでなく、相手に合わせて、気遣いを行えることで組織としての作業効率はさらに向上します。これはコンサルタントになるためだけでなく、ビジネスマンすべてに必要な一番基礎的なスキルともいえます。特段に準備の時間をとらなくても反射的に効率的な仕事を組み立てられるようになることがコンサルタントになるための第一歩と考えます。

 コピーひとつでも、ホッチキスでとめるのかとめないのか、ファイリング用の穴を空けるのか空けないのか、いちいち指示されなくても状況を自分で読んで仕事をする習慣を身につけることが必要です。

 実際、若い人と接してみると、半分以上の人は言われたことしかやりません。言われたことしかやらないタイプはコンサルタントには向かないと判断しています。

議事録をとる 戻る0

 コミュニケーション能力の高さは、コンサルタントにとって必須です。お客さんの話していることを正確に理解し、分析の結果を正しくお客さんに理解させることができなくてはコンサルタントにはなれません。これも、コンサルタントに限らず、優秀なビジネスマンになるために欠かせない素養とオバーラップします。

 私は、議事録をとる作業を通じて、コンサルタントとして必要な最低限のコミュニケーション能力は身につけてもらうようにしています。議事録をまともに取れないうちは、次のステップには進ませません。

 難しいのは、ある程度、社会人としてキャリアをもっている方が、コンサルタントになりたい場合です。ある程度の社会人経験がある場合、自分の能力に自負があり、いまさら、議事録をとる訓練などやる必要はないという思いに駆られるようです。実際に高いコミュニケーション能力を持っている方の場合は問題ないのですが、コミュニケーション能力が開発されておれず、かつ、基礎訓練をいやがる方がかなりいらっしゃいます。こういうタイプの方の場合、自己分析能力も低いわけですから、コンサルタントには向かないと判断します。

 実際の訓練は、以下のように行います。

 議事録には2種類あるとします。

 1)生議事録
 2)サマリー議事録

 生議事録というのは、議論の進行をそのまま紙に書き下ろしたものです。議論は、基本的に、書取りよりテンポが速いので、猛烈なスピードで書き取っていくことが要求されます。コンサルタントとしての議事録トレーニングは速記とは違います。速記では記号化することで、書き取る効率を向上させています。しかし、記号は、本人以外には理解できないので、情報共有の観点からみた有効性は低くなります。書き取った議事録は、美しい字体で書かれている必要はありませんが、第三者でも読めるように書かれていなくてはなりません。

 さらに、話し言葉では、たくさんの内容が省略されています。また。「こういうやつは」とか「そういうふうにすれば」など、前段の会話をうけて、代名詞を多用して会話がつながっていきます。しかし、代名詞を多用してしまうと、あとから読み返した際に、内容が不鮮明になりがちです。後から読み返しても、また会議に出ていなかった人が読んでも理解できるように、会話を聞き取りながら、代名詞表現は基の文脈に置き換えて書き取っていきます。

 およそ、1日(実質6時間程度)の議論は、A4サイズの裏紙に30枚程度の生議事録として書き残すことができます。

 生議事録をとる訓練をしばらく続けることで、理解力が飛躍的に向上します。理解力こそがコミュニケーション能力の基本ですので、生議事録書取り訓練は、コミュニケーション能力開発に大変有効であると考えています。

 生議事録を取る訓練と平行して、サマリー議事録を作成する訓練を行います。これは、表現力の訓練です。

 書き取った生議事録を1ページにまとめる作業をサマリー議事録の作成と考えています。30ページに及ぶ議事録を読み返したいと思う人は、いません。生議事録を読み返すのは、細かい点を確認するために、どうしても読み返さなくてはならない時だけです。それ以外では、せいぜい1ページのサマリー版を読み返すのが限界です。

 30ページに及ぶ議事録を1ページにまとめる際には、議論の本質を理解し、その本質を正確に伝えることを目指します。議論した項目をカテゴリー分けして、カテゴリーだけを列挙しても、意味あるサマリーではありません。カテゴリー分けをして理解を助けるとともに、できる限り、議論の経過や背景がわかるように具体的にまとめます。情報を取捨選択するとともに、具体的でかつ凝縮された表現をしなくては1ページに議論の内容をまとめることはできません。生議事録からサマリー議事録をまとめる訓練によって、表現力の基本を習得することができると考えています。

整理/分析する 戻る0

 事務作業を通じてコンサルタントとしての感性を磨き、議事録取りでコミュニケーション能力を開発してはじめて、コンサルタントらしい仕事にたどり着きます。議事を単純にまとめる訓練に続いて、何かをプラスできる整理/分析の手法を身につける訓練を行います。基本になるのは、階層構造の感覚を身につけることです。階層構造の感覚を身につけるとは、同じ事象でも抽象的な捉え方もできれば、具体的な捉え方もでき、さらに、その間には無数の階層があるという感覚を体得するということです。コミュニケーションを普通にしていてもお客さんのいっていることを頭の中で、階層構造で整理できるようになれば、価値を生み出す思考ができるようになったと考えて良いでしょう。

 抽象的過ぎる議論をしている際は、具体的な表現へ議論を誘導し、具体的過ぎる議論をしている際は、抽象的にまとめる方向へ議論を誘導していきます。抽象的な議論からは具体的な解決策が出てきませんし、具体的過ぎる議論は全体を見失いがちになります。

 階層構造で状況を整理する手法は、ピラッミッド型思考やツリー構造思考などと呼ばれます。

 階層構造は目的を上位において手段へ展開していく構造や問題から問題点へ展開していく構造になります。目的の階層と問題の階層が整理できれば、コンサルタントの仕事は終わったも同じです。

コンテンツ/ノウハウを蓄積する 戻る0

 整理/分析のスキルを身につければ、コンサルタントとしての基本的な素養はほとんど身につけたことになります。次に目指すのは、専門知識の習得です。もちろん、事務作業や議事録録取り、整理/分析作業を通じても知識は集積されてきています。それらをふまえて、さらに、専門性を高めていくことで、コンサルタントとしての価値が上昇するわけです。

 実際にコンサルタントを育成していきますと以下のようなタイプの方にも出くわします。彼らは、周りへの気遣いにとてもいいセンスをしていて、議事録取りの訓練を丹念に行い、ある程度の整理/分析スキルも身につけた、しかし、本を読んで勉強しないのです。

 私は、コンサルタントになりたいなら、毎週10冊本を買いなさいといっています。毎週10冊読めばコンサルタントになれて、読まなかったらコンサルタントになれないわけではありません。しかし、専門的な知識こそが、コンサルタントの価値の源泉ですので、勉強を怠るタイプの方は、コンサルタントにはなれません。

リーダーシップを身につける 戻る0

 次の関門は、さらに難しくなります。基本的なスキルを身につけて、専門知識が蓄積されてくれば、コンサルタントとして自立してやっていけます。さらに上を目指すには、リーダーシップを身につける必要があります。リーダシップは、コンサルタントだけでなく、どんな職業ででも、専門性による付加価値を超えて、さらに付加価値を高める際に必要になってくる素養です。

 コンサルタントは、あくまでお客様にとってはアドバイザーであるのでリーダーではないと考えられる方もいらっしゃいます。しかし、実際に、お客様に、問題解決を提供するためには、コンサルタントの側にもリーダーシップが必要です。リーダーシップの弱いコンサルタントは、単に専門知識を提供する辞書のような役割にしか過ぎません。お客様が問題解決できるように、リーダーシップの発揮の仕方を身をもって示せなくては、問題を解決できるコンサルタントとは言えません。

 リーダーシップについての研究は以下を参照してください。